なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

春の使者「つくし」

「つくし」という言葉は、なにか郷愁(きょうしゅう)を、さそう響き(ひびき)があるような気がします。

明治35年、「野菊の墓」で有名な伊藤左千夫(いとうさちお)が正岡子規(まさおかしき)に紅梅の下に土筆(つくし)を植えた盆栽(ぼんさい)を贈ったそうです。

子規はその盆栽を見て、「紅梅下土筆」10首を詠(よ)みました。
その中の一首が下の句です。



「くれなゐの 梅ちるなべに
    故郷(ふるさと)に つくしつみにし 春し思ほゆ」    (正岡子規



近くの堤防の斜面に「つくし」が顔をだしていました。

でも、堤防のツクシは、もうずいぶん大きくなっていて、まだ、胞子が飛んでいないツクシは、あまりありませんでした。

いよいよ春も深まってまいりました。

「ツクシ だれの子 スギナの子」といいますが、ツクシは、スギナの子ではありません。

ツクシは種で増える種子植物(しゅししょくぶつ)ではなく胞子(ほうし)で増えるシダ植物なのです。

ですから、春になるとスギナは、子孫を増やすために胞子茎(ほうしけい)を作ります。

胞子茎というのは、胞子嚢(ほうしのう= ほうしが入はいっているふくろ)をつける茎(くき)のことで、スギナの胞子茎が「つくし」なのです。

スギナも春を待っていたのですね!



「春風や 堤(つつみ)長うして 家遠し」 (与謝蕪村


(意訳)

春風がそよそよと吹いています。堤防の道は、とっても長く、懐かしい故郷は、はるか彼方に霞んでいます。






オリンパス ミラーレス一眼 OM−E E−M1(パワーバッテリー・ホルダー HLD−7付).ズーム・レンズ ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II で撮影