昨日のブログの続きです。
先ほど,松ぼっくりを落としたホシガラスは、ハイマツ帯の中にある白い倒木のある空き地に降り立ちました。
ここで、何かクチバシを下にしてかがみこんでいます。
どうもこのホシガラスは松ぼっくりを「うっかり」落っことしたのではなく、クチバシにくわえてこの場所に放り投げたようです。
実は、ハイマツは、動物散布(どうぶつさんぷ)によって増殖(ぞうしょく)する松だそうです。
普通の松は、熟れた松ぼっくりが開いて松傘となり、その中にある「翼のついた松の実」が風に吹かれて散布されます。
でも、ハイマツの熟れた松ぼっくりは、松傘のように開かず、自然に落下もしないし、松ぼっくりの中にある実にも翼がないので風によって散布されません。
そのため、ホシガラスやシマリスなどの動物が、松ぼっくりを運んで、その実を土に埋めてくれることによって、別の場所に移動できるのです。
ホシガラスは、秋になってハイマツの実が熟すころ、ハイマツ帯にやってきて、熟した松ぼっくりがらその実を取り出し、冬にそなえて土中に貯蔵するそうです。
その貯蔵した松の実の中のホシガラスが食べ残したり、忘れ去られた実がその場所で発芽して、新しいハイマツとなるようです。
このホシガラスもここに落とした松ぼっくりから、クシバシをナイフとホークのように使って、松の実を取り出して土に埋める作業をしていたようなのです。
また、ホシガラスの営巣する時期は4月ころのようです。
そのころの高山帯はまだ残雪が多く残っているため、食べ物を探すのは容易ではありません。
その時に前年の秋に貯蔵したハイマツの実が役に立ちます。
つまり、ハイマツとホシガラスは共生している関係だったのですね!
さて、ハイマツの造林作業を終わったホシガラスは、紅葉して赤く色づいたナナカマドの近くにやってきました。
何をするのでしょうあか?
ホシガラスは、赤く熟したナナカマドの実をクチバシにくわえ、すぐに飲み込んでしまいました。
あの大きな松ぼっくりは食べ物の不足する時期のために貯蔵して、今は、ナナカマドの実を食べているようです。
食べ終わったホシガラスは、また、飛び去りました。
今度は、どこに行くのでしょうか?
紅葉した赤い葉っぱのナナカマドの中のホシガラスは、輝いて見えました。
ホシガラスにとって秋は収穫の時期でとても忙しいのかもしれません。
その後、このホシガラスは、ハイマツの帯の中に入って、松ぼっくりをくわえたまま飛び去っていきました。
青々としたハイマツの中のホシガラスと松ぼっくりをくわえたまま飛ぶ姿は、明日掲載予定の「乗鞍山頂・畳平のホシガラス4」をご覧ください。