なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

手賀沼遊歩道のイトザクラと囀るウグイス

春に咲く花といえば、「桜」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。桜には400〜600ほどの豊富な種類があり、それぞれ花びらの数や形、色が大きく異なるようです。

手賀沼遊歩道で今咲いている桜はソメイヨシノではなくイトザクラのようです。

イトザクラというのは、しだれ桜の別称で、枝が柳のように垂れ下がって生えている桜の総称だそうです。エドヒガンの変種が多く、様々な品種があるとのことです。

ソメイヨシノよりも1週間ほど早く、3月下旬〜4月にかけて開花期を迎え、淡いピンク色をした一重の花を咲かせます。

このイトザクラの下のヨシの茂みに潜んでいる「春告げ鳥」のウグイスが、開花している枝の付近で高らかに「わが世の春」を唄います。

でも、この行為は警戒心の強いウグイスにとっては、危険をおかして囀っているので、囀るとすぐに移動してしまいます。

桜とウグイスのコラボが見られるのはとても僅かな一瞬にすぎません。

今まさに「その時」なのです!

Now is the time.


「桜花散りかひくもれ老いらくの来むといふなる道まがふがに」 ( 在原業平 古今集

意訳:桜の花よ、舞い散って辺りを花びらで曇らせてしまえ。老いがやってくるという道が、花吹雪(ふぶき)でわからなくなるように。


「世中に たえてさくらのなかりせば 春の心は のどけからまし」(在原業平 古今集

意訳:この世の中にもし桜の花が絶えて無かったならば、春の人の心はこのように穏やかではないだろうに



「花の散る ことやわびしき 春霞 
            たつたの山の 鶯の声」(藤原後蔭 古今集

意訳:花の散ることが切ないのか、春霞の立つ龍田山でしきりに鳴く鶯の声。



「鶯の こゑ聞きそむる あしたより
          待たるる物は 桜なりけり」     (本居宣長)


  甃(いし)のうへ

                       三好 達治



             あはれ花びらながれ
             をみなごに花びらながれ
             をみなごしめやかに語らひあゆみ
             うららかの跫音(あしおと)空にながれ
             をりふしに瞳をあげて
             翳(かげ)りなきみ寺の春をすぎゆくなり
             み寺の甍(いらか)みどりにうるほひ
             廂廂(ひさしひさし)に
             風鐸のすがたしづかなれば
             ひとりなる
             わが身の影をあゆまする甃のうへ

                       


イトザクラ


囀るウグイス