なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

渡良瀬遊水地のトラフズク

2月15日、渡良瀬遊水地は強風の吹く冷たい1日となりました。

渡良瀬遊水地周辺には、以前からトラフズクがいることが知られていましたが、その行動はよくわかっていなかったそうです。

そこで、このトラフズクの行動を知るために、足輪の調査が行われ、この地で生まれた個体が、「この地で越冬し周年生息し繁殖もしている」ことが知られたようです。

この有名な渡良瀬遊水地トラフズクは、こんな強風の時、どんな様子で過ごしているのでしょうか?

夕暮れ前まだ日差しのある午後、トラフズクのいる場所に行ってみました。

トラフズクは、こんもり茂った広葉樹の葉っぱに囲まれた風に晒(さら)されない奥まった枝にとまっていました。

西日に照らされた葉陰に隠れて、強い風で木全体が揺れるたびに片目を開けて、強い風に耐えていました。

ほとんど動きませんが、時々、後ろを向いたりしています。

やはり、風が気になって安眠できないようです。

細かい枝に囲まれて身を防護しているので全身がよくわかりません。

そこで、参考写真として、以前、多摩川河川敷で撮影したトラフズクの写真と一緒に掲載します。

トラフズクは、全長38cm、フクロウの仲間です。全体が褐色と黒褐色の模様をしています。耳のように見える羽角をもっていますが、この羽は、飾り羽であって聴力には全く関係無いそうです。

フクロウ類の耳は目の横にあり、大きな穴になっていて、この穴から音を聞くので、耳のように見える羽角は単なる飾りですが、姿がトラのように見えるので、強そうにみえますね。

この穴の形が左右で異なっているので、広い範囲の音を拾うことができるそうです。この耳穴全体を羽毛が覆っているので、見かけ上は見えないのです。

トラフズクは主にネズミ類を捕らえて餌にしているようですが、小鳥も捕らえています。

渡良瀬遊水地周辺のトラフズクは、そのペリット調査によって、ネズミと小鳥の捕食率が全国平均よりも小鳥の捕食割合が高いことが知られています。

渡良瀬遊水地付近は他の地区に比べて小鳥の数が多いのでしょうね。

日本ではほぼ全国から記録はあるそうですが、繁殖しているのは本州北部と北海道の低山地・平地の林。巣は樹洞が多く、タカ類やカラス類の古巣を使うこともよくあるようです。

普通は、トラフズクは、冬には温暖な地方へ移動し、数羽から十数羽が同じ林や樹木をねぐらにしているようですが、渡良瀬遊水地トラフズクは、一年中ここに住んでいる珍しい事例とのことです。


2月15日撮影した渡良瀬遊水地で越冬中のトラフズク



以前、撮影した多摩川河川敷で越冬中のトラフズク

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