なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

やっと咲いた我が家のアサガオ

6月下旬に利根川下流域に野鳥撮影に行く途中の「道の駅」でアサガオの苗を買いました。

その苗を我が家の猫の額の庭の片隅に植えて花の咲くのを楽しみに待っていました。

なんと一ヵ月半待ってもアサガオのつぼみも花も出てきません。

葉っぱばかり茂っています。

以来、毎日アサガオの花が咲かないか?と見ていましたが、花の出てくる気配もありません。

早く花が咲くようにと家内が気遣って毎朝たっぷりと水をあげています。

あまり、花が出てこないので、調べて見ると、水遣り(みずやり)が多すぎると花が咲かないし、蔓(つる)の先端を延ばし放題にしても良くないとのこと。

遅まきながら蔓の先端を切り、一週間ほど前から水をあげなくしてみました。

今朝も「今日も咲いていないなぁ」と言いながら朝顔を見てみると、葉陰にかくれた小さな紫色の花を一つだけ見つけました。

「花が咲いた!」と叫んでしまいました。

待ち望んだ花なのです。

やっと咲いた朝顔の花は、我が家の小さな、ささやかな「希望の花」のように感じました。


「 朝がほや 一輪深き 淵の色 」    
           
           (与謝蕪村






喫茶去: 思い出のヤンソンス指揮 東京交響楽団シューベルト交響曲「未完成」を聴く


きょうは、以下のCDを聞いてみました。

アルヴィド・ヤンソンス(指揮)
          東京交響楽団

 録音時期:1958年11月20日(1,2)、1960年11月13日放送(3)
 録音場所:東京、目黒公会堂(1,2)
 録音方式:モノラル(ライヴ)

1 モーツァルト交響曲第40番ト短調 K.550
2 シューベルト交響曲第8番ロ短調 D.759『未完成』
(ボーナストラック)
3 チャイコフスキー交響曲第6番『悲愴』〜第1楽章

このモノラル収録の演奏は、2013年にCDに復刻されました。

はっきりしませんが、この演奏は、東京放送(TBS)のラジオで放送されただけでレコードはなかったのかもしれませんが・・・


実は、このCDのうちの「未完成」は、多分、私が学生の頃、初めて自分の「おこずかい」で買った「未完成」なのです。

そのころ、ソノシートというビニール・シートに音を刻んだ円盤がありました。

今となっては定かではないのですが、「朝日ソノラマ」から本で出版されていたように記憶しています。

学校帰りの本屋さんで、見つけて買いました。

わくわくしながらモノラルのプレーヤーで聴きました。

その当時ステレオの装置はすでにありましたが、高価だったので持っていませんでした。

私が持っていた機械は、ナショナル製の「マグナファックス」という、専用の録音シートに録音もでき、SP(78回転),LP(33三分の一回転)のレコード再生のできる勉強用のマシンでした。

LPレコードは高価なので、一枚も持っていなくて、ドーナツ盤の レコードか旺文社の受験雑誌の付録についてくるソノシートとか、本屋さんで売っているソノシートを買ってそのマシンで再生して聴いていました、

そのころのクラシック音楽鑑賞初心者のスタンダードLPは、ブルーノ・ワルター指揮のベートーヴェンの「運命」とシューベルトの「未完成」でした。

この演奏は、他所(よそ)で何度も聴いていたので、このLPレコードが欲しかったのですが、とても高価だったので、レコード屋さんに飾ってあるレコード・ジャケットを見ているだけでした。

このLPは、今聴いても素晴らしい演奏ですが、当時の私にとっては宝物のようなものでした。

そんな時に、私の「おこずかい」で買えるソノシートの「未完成」を手に入れたわけです。

喜んで何度も聴きましたが、録音がぺらぺらのソノシートであったし、私の持っている再生機が貧弱で、そのうえ、録音がモノラルで、あまり知られていない指揮者と日本のオーケストラのため、この演奏を、二流品のように思って、何か引け目を感じながら聴いていました。

それでも、この演奏は毎日聴いて楽しんでいました。

後年、社会人になって、それなりのステレオ装置を購入したので、ブルーノ・ワルター指揮のベートーヴェンの「運命」とシューベルトの「未完成」のLPは、何度も聴きましたが、学生時代に買ったソノシート付の本のヤンソンス指揮「未完成」の演奏は、どこかに紛失していたので、そのステレオ装置で再生することはできませんでした。

今回、55年ぶりに、この演奏の復刻のCDが発売されているようだったので、最近、購入して聴いてみました。

モノラルでのライブの演奏ですが、思ったよりも、いい録音の演奏で、ヤンソンスさんは大戦後の東京交響楽団をうまくドライブしていて、とてもロマンチックでチャーミングな演奏をしていました。

ワルターニューヨーク・フィルの「未完成」と比肩できるほどの演奏ではありませんが、戦後の日本人の復興への情熱とそれを助けてくれているヤンソンスさんのことを加味すると、とても印象に残る演奏でした。

この演奏は、当時、私が思っていたような「二流品」の演奏ではありませんでした。立派な演奏です。

まだ、日本が豊かではなかった頃のオーケストラの意気込みは、今聴いても頭の下がる思いがします。

このCDに収録されている、モーツァルトチャイコフスキー交響曲も、ともに鑑賞に耐えうる立派な演奏でした。

特に、「悲愴交響曲」の演奏は、残念ながら第1楽章だけしか収録されていませんでしたが。とても素晴らしい演奏でした。

戦後70年の今日(こんにち)に、このCDを聴いていると、コンパクト・ディスクを聴いているのではなく、記録を意味する「レコード」を聴いているように感じ、戦前のドイツ映画「未完成交響楽」の終りの言葉を思い出しました。


「我が恋の終わらざるが如く,この曲も終わらざるべし」 

Wie meine Liebe nie zu Ende gehen wird, so soll auch diese Musik nie zu Ende gehen.