なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

手賀沼遊歩道のアオジ

師走の青空の手賀沼遊歩道にアオジのメスがやってきました。ふんわりととても静かに枝にとまりました。少し休んでいましたが、すぐに地面に降りました。下の草むらの枯草にとまって何かをさがしているようです。

何かを見つけたのか茂みに隠れてしまいました。

アオジは、留鳥または漂鳥として、本州中部以北の山中で繁殖するそうです、冬になると西日本または、低地に移動して越冬します。越冬地では、平地の耕作地や市街地でも見ることができます。

アオジの名の由来は、アオジは、ホオジロの仲間で、ホオジロの古名を「しとど」というので、「青いしとど」「あおしとど」から「あおじ」となったとのことです。



「しののめに 嵩雀(あおじ)が鳴けば 
  罠(わな)かけて 籾(もみ)まき待ちし 昔おもほゆ」

                     (長塚 節)








閑話休題ー「初詣」と「お不動さん」について




もうすぐお正月です。毎年、初詣(はつもうで)に出かける方もおられることでしょう。

ご存じのとうり、初詣は、寺社へ参拝を行って、社務所でお守り、破魔矢(はまや)などを受けたり、絵馬(えま)に願い事や目標を書いたりして、今年一年がよい年であるよう祈る行事です。

初詣には、多くの人たちが神社に参拝します。三が日の全国初詣ランキング(2013年)上位3位は、

1.明治神宮 (東京都渋谷区)      313万人
2.成田山新勝寺 (千葉県成田市)   300万人
3.川崎大師 (神奈川県川崎市)     281万人

です。

明治神宮は、神社であとの2つはお寺です。

成田山新勝寺(なりたさんしんしょうじ)は、「お不動(ふどう)さん」で親しまれるお寺です。

「お不動さん」は、「観音(かんのん)さん」「お地蔵(じぞう)さん」と並んで日本人にもっとも親しまれている「ほとけさん」です。

「お不動さん」は。密教(みっきょう)の「ほとけさん」です。したがって、密教が伝わる以前は「このほとけさん」は、日本にありませんでした。平安時代に「お弘法さん」が、初めて持ってきたと伝えられています。

密教は、仏教の「秘密の教え」で、顕教(けんきょう)に対する教えです。一般に狭義で、密教といえば空海(=お弘法さん)を開祖とする真言宗(しんごんしゅう)のいわゆる東密(とうみつ)や、密教を導入した天台宗(てんだいしゅう)での台密(たいみつ)をいいます。

Kotobankによれば、密教は、「仏教の流れの一つで,顕教,すなわち広く民衆に向かって開かれ,その世界観を明瞭な言葉で説く通常の仏教に対し,自己を非公開的な教団の内に閉鎖し,秘密の教義と儀礼を師資相承によって伝持しようとする秘密仏教をいい,象徴主義儀礼ないし観修法によって宗教理想を達成しようとする点に特徴をもつ。」とあります。

(注:密教を、もう少し詳しく知りたければ、比較的入手しやすく廉価な文庫本の「密教」(松長有慶著 岩波新書)や単行本「密教概論」(高神覚昇著 大法輪閣)、などが良い入門書だと思います。)

さて、「ほとけさん」を分類すると、如来(にょらい)、菩薩(ぼさつ)、明王(みょうおう)、天部(てんぶ)、その他となります。ほとけさんに上下関係はありませんが、役割の違いがあります。

如来には三種の輪身(さんしゅのりんじん)があるとされています。

如来は、全宇宙そのものとして活動を続け、説法しているのですが、われわれ凡夫(ぼんぷ)には、凄(すご)すぎて理解できません。悟った人だけが理解できるそうです。

つまり、如来は、自身の聖位に留(とど)まっているので、自性輪身(じしょうりんじん)といいます。

そこで、菩薩である「観音さん」や「お地蔵さん」に姿を変えて大衆の願いを聞き届けようとします。

つまり菩薩は自利利他(じりりた=「自分自身の修行し努力することと、他人の救済のために尽くすことの二つを共に完全に行うこと」)を行うので正法輪身(しょうほうりんじん)といいます。

しかしこれで救われるのは、「ほとけさん」を信じて、信仰心をもった人が救われるだけです。

私のように、信仰心はあっても心がぐらついている人や、信仰心を持たない人、悪いとしりつつ自制心がないため堕落(だらく)している人など、つまり一般の大部分の人々を救うためには、コラッと怒鳴(どな)りつけ、頭をコツンとやって、叱ることができる「ほとけさん」が必要とされます。

そこで、如来の使者、明王の登場です。

明王は、如来の使者であると同時に如来自身の変身(へんしん)であるといわれています。

つまり、救いがたい極悪(ごくあく)の衆生(しゅじょう)のためには、教令輪身(きょうりょうりんじん)という恐怖奇怪(きょうふきかい)な姿で、如来の慈悲(じひ)をたくましく実行する明王が派遣(はけん)されます。

教令輪身は、使者なので、自性輪身のような帝王の尊厳さを持たずどんな仕事でもすぐやるという姿勢をしめします。

「お不動さん」の名で親しまれ、大日大聖不動明王(だいにちだいしょうふどうみょうおう)、無動明王(むどうみょうおう)、無動尊(むどうそん)、不動尊(ふどうそん)とも呼ばれる不動明王(ふどうみょうおう)は、実は、密教(みっきょう)の根本尊である大日如来(だいにちにょらい)の変身した化身仏(けしんぶつ)なのです。

不動明王は、アジアの仏教圏の中でも、特に日本において根強い信仰を得ており、造像例も数多く存在しています。真言宗では大日如来の脇待(わきじ)として、天台宗(てんだいしゅう)では、在家の本尊(ほんぞん)として置かれる事もあります。

不動明王は、大日如来が、とても救われそうにない人びとを救うために、変身した方便(ほうべん)の教令輪身なのです。不動明王は、憤怒(ふんぬ)をもって、深い罪悪や不幸を滅ぼす、慈悲(じひ)の如来にほかなりません。

こうして、不動明王は多くの一般大衆のための如来として、断えず慈悲を行(ぎょう)じているので、以前は、多くの人びとの強い信仰を集めていたのですが、今では、初詣のときに、なんとなく年中行事として、お参りしている人も多くなっているようです。

不動明王の外見は、忿怒(ふんぬ)の姿をしていますが、内心は慈悲(じひ)に充(み)ちている、ありがたい「ほとけさま」です。

日本で制作された「仏説聖不動経(ぶっせつ しょうふどうきょう)」で、以下のように「お不動さん」を説明しています。


不動明王は大威力あり
大悲の徳のゆえに 青黒の形をあらわし
大定の徳のゆえに 金剛石に座し
大智恵のゆえに 大火焔(だいかえん)をあらわす
大智の剣をもって 貧瞋癡(とんじんち)の三毒を断ち
三昧(ざんまい)の縄をもって 暴れる心を捕らえる

不動明王大日如来の化身で その住居はなし
ただ信ずる人の心の中に住す
人々の願いは千差万別である 
不動明王は人々の意に従って利益をなす



また、不動明王真言(しんごん)は、大呪(だいじゅ)・中呪(ちゅうじゅ)・小呪(しょうじゅ)とありますが、一番みじかい小呪、「ノウマク サンマンダ バザラ ダンカン」がよく唱(とな)えられます。

真言を唱えることで、いろんな願い事を、仏様に直接働きかけることができるとされています。

お弘法(こうぼう)さまの開いた真言宗(しんごんしゅう)の「真言」はこれに由来(ゆらい)しますが、真言宗のみで使われるものではなくて、良く知られている般若心経(はんにゃしんぎょう)の最後にある言葉の「羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶羯諦」も真言です。

  羯諦    (ギャテイ、ギャテイ)
 波羅羯諦  (ハラギャテイ)
 波羅僧羯諦 (ハラソウギャテイ)
 菩提薩婆訶 (ボジソワカ
  
これは般若心経の最後に出てくる真言マントラ)で、呪文(じゅもん)です。

元のサンスクリッド語(古代インド語)は、「ガテー、ガテー、パーラガテー、パーラサンガテー、ボーディ、スヴァーハー」で、漢字の表現は、この音写の当て字なのです。

仏教学者の中村元(はじめ)博士は、この部分を「往(い)ける者よ、往ける者よ、彼岸(ひがん)に往ける者よ、彼岸に全(よ)く往ける者よ、悟りよ、幸いあれ」と訳されていますが、本来は、呪文なので訳出しなくてもいいのです。唱えれるだけで、ご利益(りやく)があるといわれています。

つまり「彼岸に往ける者(仏様)」に悟(さと)りの成就(じょうじゅ)を願い、敬い、讃える呪文なのです。

初詣におまいりの時にこれらの真言を唱えるといい年になるかもしれません。

一般には、生まれ年(干支えと)によって、守本尊(まもりほんぞん)があって、その真言が決められていますので、初詣の時、ご自分の守り本尊の真言を唱えるといいですよ。

以下に守本尊の真言を記載します。

子(ね)年生まれ
千手観世音菩薩(せんじゅかんぜおんぼさつ)  「おん、ばざら、たらまきりく」

丑((うし)年、寅(とら)年生まれ
虚空蔵菩薩(こくぞうぼさつ)  「おん、ばざら、あらたんなう、たらくそわか」

卯(う)年生まれ
文殊菩薩もんじゅぼさつ)  「おん、あらはしゃ、なう」

辰(たつ)年、巳(み)年生まれ
普賢菩薩(ふげんぼさつ)  「おん、さんまや、さとばん」

午(うま)年生まれ
勢至菩薩(せいしぼさつ)  「おん、さんざん、ざんさく、そわか」

未(ひつじ)年、申(さる)年生まれ
大日如来(だいいちにょらい)  「おん、(あびらうんけん、)ばざら、だとばん」

酉(とり)年生まれ
不動明王(ふどうみょうおう)  「なうまく、さまんだ、ばざら、だんかん」

戌(いぬ)年、亥(い)年生まれ
阿弥陀如来(あみだにょらい)  「おん、あみりた、ていぜい、からうん」


本堂で合掌(がっしょう)して、真言を心ゆくまで唱えてください。

良い年になりますように!