引き続きビロードキンクロ連載2回目「急発進するビロードキンクロ」です。
ゆっくり海面に漂っていたビロードキンクロは、突然、猛然と突進するように泳ぎ始めました。
クロガモ(参考1〜3)と共に外洋に生息し荒波の海でも平気なビロードキンクロにとって浦安市の日の出海岸は内湾なので少しものたらないのかもしれません。
どんどん加速して、とうとう身体は水没して顔と頭だけ出して泳ぎ続けます。
しかし、今度は、急ブレーキをかけ反対方向に泳ぎ始め、突然、ようやくとまりました。
食後の運動なのでしょうか?
ところでこの鳥は、ゴージャスな名前がついています。
この名の由来を調べてみると、真っ黒な羽毛がビロードを思わせるのが由来のようです。
つまり和名ビロードキンクロの漢字表記は天鵞絨金黒で、英名はVelvet ScoterとのことでVelvet は、ベルベットで黒い布のビロードの意で、江戸時代にはビロードを天鵞絨と書いたのでこの表記になっているようです。なお、金黒は、次列風切が白いのでキンクロハジロと同じということで命名されているようです。
ビロードキンクロもアラナミキンクロとおなじようにひょうきんな顔立ちをしていますが、とても小さくて可愛い目をしています。
どちらも、とてもユニークな鴨なので、この鳥たちに会えると何かいいことがありそうな気がします。
ちょっと蛇足ですが、クロガモは、万葉の時代には黒鳥といったようで、平安時代に成立した紀貫之(きのつらゆき)の日記文学「土佐日記」にも出てきます。でも、この鳥がクロガモかどうかは定かではありませんが参考までに以下に掲載します。
「かく歌ふを聞きつつ漕ぎ来るに、黒鳥といふ鳥、岩の上に集まり居り。その岩のもとに、波白く 打ち寄す。楫取りの言ふやう、
「黒鳥のもとに、白き波を寄す」
とぞ言ふ。
参考1:以前撮影したアラナミキンクロとクロガモの群れ
参考2:以前撮影したクロガモ♂
参考3:以前撮影したクロガモの群れ