ツツドリが桜の梢(こずえ)にとまりました。
すると、すぐにもう一羽のツツドリが飛んできました。
先にとまったツツドリに対して大きな口をあけ羽を大きく広げて威嚇(いかく)しています。
先にとまったツツドリも応戦の体勢をとり、大きな口をあけて羽を広げました。
両者(りょうしゃ)口をあけて、威嚇しながら戦いの火蓋(たたかいのひぶた)は切られました。
後にきたツツドリは、さらに攻撃姿勢(こうげきしせい)を鮮明(せんめい)にしました。
位置的に有利な上にいるこのツツドリは、羽ばたきながら左に旋回’せんかい)して、足を下に向け「蹴(け)りをいれる」体勢になりました。
まるで。猛禽(もうきん)のような迫力のある攻撃です。
下にいるツツドリも、必死に応戦していましたが、こらええきれずに逃げ去っていきました。
ツツドリ仲間でも上下関係(じょうげかんけい)は存在するのでしょうか?
ここは、広い桜の疎林(そりん)なのですが、良い餌場(えさば)は、限られているようで、強いツツドリが、ひ弱(よわ)なツツドリを追い払(おいはら)って餌場を確保しているのかもしれません。
とても激(はげ)しい一瞬(いっしゅん)の戦(たたか)いでした。
同じ仲間の鳥たちでも生存競争(せいぞんきょうそう)は厳(きび)しいのかもしれません!
勝ち誇(ほこ)ったツツドリは雄叫び(おたけび)をあげながら、木の茂(しげ)みに姿を消しました。
私たち人間にとっては、餌場をめぐる争いは、蝸牛角上の争い(かぎゅうかくじょうのあらそい )のようにも見えますがツツドリにとっては 、死活問題(しかつもんだい)なのでしょうね。
注) 蝸牛角上の争い(かぎゅうかくじょうのあらそい )とは、今から2300年前、中国の戦国時代中期に成立したとされる古典「荘子(そうじ)」に出てくる、「カタツムリの左の角の上にいる触氏と,右の角の上にいる蛮氏とが争った」という寓話(ぐうわ)による「些細(ささい)なことや、狭(せま)い世界でのつまらない争いのたとえ」です。
その木の下の夏草は、ぱらぱら降り出した雨のしずくを受けて佇(たたず)んでいます。
秋雨(あきさめ)が、あたり一面(いちめん)を覆(おお)いつくし、何事も無かったかのように静かになりました。
「夏草や 兵どもが 夢の跡. (なつくさや つわものどもが ゆめのあと)」
(松尾芭蕉).