あちこちの路傍の雑草の中に青い可憐な花を見かけます。
どこにでも咲いているツユクサ(露草)です。
「朝(あした)咲き 夕べは消(け)ぬる 鴨頭草(つきくさ)の
消ぬべき恋も 我はするかも」 (万葉集)
上の歌は、朝、露にぬれながら花を咲かせ、昼すぎにしぼんでしまうツユクサ(露草)を、はかない恋に詠みこんだ和歌といわれています。
ツキクサは 「着草」 とも書かれ、昔は布や和紙を染めるのに使われていたそうですがが、光や水に弱く変色しやすいので、中国から藍染(あいぞめなどの技法が入ってくるとツユクサ染めは衰退したとのことです。
こんな雑草の中に咲く小さな可憐な花をいっぱい集めて染物にした古人の苦労が偲ばれます。
すぐに色あせる染料でも小さな花をあつめて必死に染める苦労は、並大抵の努力ではありますまい。
私にとっては、淡い綺麗な青い色の可憐な花のツユクサは、深く考えさせられる秋の花でした。